【学生インタビュー】在学生が主演・広報として参加!映画『いつかの走馬灯で』に込めた想いとは ー 制作に関わった学生に聞きました(前編)
映画『いつかの走馬灯で』には、本学の在学生が主演を務めるほか、広報スタッフとして作品制作にも携わっています。
本作品は、京都の街を舞台に、「自由なのに、不自由」な現代を生きる私たちの感覚に寄り添いながら、ありのままの自分と向き合い、一歩を踏み出す姿を描いた「窓」「いつかの走馬灯で」「エンディングはひとつだけ」の全3編からなる短編オムニバス映画です。
脚本・監督は本学卒業生が担当。在学生も主演や広報活動を通じて制作に参加し、外部のクリエイターや技術スタッフなど、多様な立場・世代の人々が力を合わせて作品づくりに取り組んでいます。
今回は、主演として出演したメディア創造学科3年次生の島田愛梨珠さんと、広報スタッフとして関わったメディア創造学科4年次生の辻本智帆さん、小玉彩乃さんに、制作の背景や取り組みの中で感じたこと、そして作品に込めた想いについて伺いました。
INDEX
『いつかの走馬灯で』との出会い~それぞれが踏み出した最初の一歩
Q.主演として出演することになったきっかけを教えてください。
島田さん:主演を務めることが決まったのは大学に入学してからのことです。『いつかの走馬灯で』の原作となった『24歳、彼氏にフラれた日の日記』の作者であるわだゆりかさんが、私が以前出演した映画『魚の目』をご覧くださり、主人公「涼」の役に合うのではないかと推薦してくださったことがきっかけで出演が決まりました。お話をいただいたときは本当に嬉しく、期待に応えられるよう役と真摯に向き合いながら、大切に演じたいと思いました。
Q.広報スタッフとして本作品に関わることになったきっかけを教えてください。
辻本さん:撮影監督とプロデューサーを務められている先生にお声がけいただいたことがきっかけです。その際に見せていただいたイメージムービーに一瞬で惹き込まれ、「ぜひ挑戦してみたい」と思い参加を決めました。活動を進めていく中で少しずつメンバーも増え、それぞれが得意分野を活かしながら現在の広報チームの形ができあがっていきました。
小玉さん:もともと映画を観ることが大好きで、SNSなどを通じて新作映画の情報を集めることも多く、以前から映画の広報に携わってみたいと考えていました。そんな中、以前から親しかった辻本さんがSNSで本作品の広報メンバーを募集しているのを見かけました。正直、何も分からない状況だったので不安もありましたが、「やらなかったらきっと後悔する」と思い、思い切って飛び込んでみました。実際に参加してみると顔見知りのメンバーも多く、初めからコミュニケーションが取りやすかったこともあり、安心して活動をスタートすることができました。

作品づくりに込めた工夫と想い~役作りと広報、それぞれの立場から~
Q.役作りで意識したのはどんなところですか。
島田さん:今回の3作品では、それぞれ異なる人物を演じました。私自身、これまであまり演じたことのない役柄にも挑戦したため、それぞれの役と自分との共通点を探しながら、「この人物はどのような人生を歩み、何を考えているのか」を丁寧に考えることを意識しました。特に主人公の涼が抱える将来への不安や迷いには、20代の私自身にも重なる部分があり、共感しながら役と向き合うことができました。
また、『窓』では作家を演じたため、本を読んだり万年筆で文章を書いたりしながら、役の生活や感覚を少しでも理解しようと努めました。怒鳴るシーンでは、日常の自分とは異なる表現が求められたため、監督や周囲の方々に見ていただきながらアドバイスを受け、ただ声を荒げるのではなく、貧乏ゆすりなどの動作も取り入れながら感情が伝わるよう工夫しました。
さらに、普段は喫煙をしませんが、たばこを吸う人物の心情を理解するために喫煙所へ足を運び、撮影で喫煙されるスタッフの方と行動をともにしながら、その時間が持つ意味やリフレッシュする感覚について考えました。
作品のテーマでもある「自分自身と向き合うこと」を大切にしながら、3作品それぞれの人物像を丁寧に演じることを心がけました。
Q.広報としての具体的な業務内容を教えてください。
辻本さん:当初は映画の認知度向上を目指し、YouTube、TikTok、Instagram、Xの4つのSNSを中心に情報発信を行いました。また、制作資金を集めるためのクラウドファンディングにも取り組みました。
私は広報チームのリーダーとして、主に外部との連絡やチームメンバーへの指示出し、進行管理を担当しています。プロデューサーの武村先生をはじめ、劇場関係者や配給会社の方々と連携を取りながら、チーム内のミーティングでは進行役を務め、情報共有やスケジュール管理も行っています。
これまでは他作品の広報活動を意識して見ることはあまりありませんでしたが、自ら広報に携わるようになったことで、SNS運用の意図や効果的な発信方法など、新たな視点を持って映画や広告を見るようになりました。
小玉さん:私は主にXの運用とプレスリリースの作成を担当しています。
Xでは、広報開始当初から「学生広報日記」と題したリレー形式の日記を毎日投稿しているほか、オフショットや映画に関する情報も発信しています。映画のテーマである「日常に寄り添う」を広報活動にも反映したいと考え、継続的な発信を心がけてきました。
また、プレスリリースの作成にも立候補して取り組みました。当初は思うように書くことができず苦労しましたが、クランクインやクラウドファンディングの開始・終了など、作品の節目ごとに情報を整理し、メディア向けの資料として発信してきました。
そのほかにも、SNS用の画像や動画の制作、クラウドファンディングのリターン企画・制作などにも携わり、広報活動の幅広い業務を経験することができました。

作品と向き合う中で見えたもの~撮影・制作現場での挑戦と学び~
Q.印象的なシーンや苦労した点はどんなところですか。
島田さん:今回の作品で特に苦労したのは喫煙のシーンです。3作品すべてに喫煙シーンがあり、役作りのために撮影の約1年前から練習を始めました。最初はたばこ*の持ち方や吸い方も分からず苦戦しましたが、自然に見えるよう何度も練習を重ねました。
撮影中は京都でのロケも多く、祇園祭の風景や浴衣を着ての撮影が印象に残っています。特に『エンディングはひとつだけ』で田村さんと共演したシーンは、今でも心に残る大切な場面です。
(*撮影では本物のたばこは使用していません)
Q.制作現場で印象に残っている出来事を教えてください。
辻本さん:クラウドファンディングの告知チラシを置いていただくため、映画館を訪問してお願いして回ったことが印象に残っています。
最初は先生とのつながりがある映画館にお願いしていましたが、他の映画館にも置いていただけないかと考え、思い切ってテアトル梅田さんにも伺いました。すると支配人の方が直接対応してくださり、快く設置を引き受けてくださいました。
その経験が自信となり、その後ほかの映画館にも足を運びました。結果としてお断りされてしまいましたが、その際も丁寧に対応していただき、人とのつながりや自ら行動することの大切さを実感しました。学生だからこそ挑戦できることも多くあると感じています。
小玉さん:多くの方が私たちの活動を応援してくださったことが印象に残っています。
大阪のある映画館を訪れた際には、スタッフの方々が温かく迎えてくださり、その中で「若い映画人ともっと積極的に関わっていきたい」と声をかけていただきました。チラシ設置だけでなく、映画館の一角での写真や映像の展示企画まで実現させていただいたことは大きな励みになりました。
当時はクラウドファンディングの広報活動も佳境を迎え、大変な時期でしたが、「自分たちの活動が少しでも映画業界を盛り上げることにつながるかもしれない」という思いを持ち続けることができ、最後まで走り切る原動力になりました。
Q.制作活動を通して苦労したことはありますか。
小玉さん:私が最も苦労したのはプレスリリースの作成です。立候補して担当しましたが、それまで経験がなく、最初に作成した原稿はほとんど全てに修正が入るほどでした。
アドバイザーの方に助言をいただきながら何度も書き直し、「プレスリリースは“書く”ものではなく、“見やすく、わかりやすく作る”もの」という言葉がとても印象に残っています。
現在では、まだ自信がない部分もありますが、見出しやレイアウト、情報の見せ方も意識しながら作成できるようになりました。ただ情報を伝えるだけでなく、どの情報をどのように届ければ興味を持ってもらえるのかを考えることの大切さを学んだ経験でした。
辻本さん:私は広報だけでなく助監督も務めさせていただきました。初めてのプロの現場で、何をすればよいか分からず、周囲のスタッフの方々に教えていただきながら必死についていったことを覚えています。
特に印象に残っているのは、鴨川のシーンの撮影です。ロケハン時には問題なかった場所が、撮影日直前になると草が高く伸びてしまっており、急きょ撮影当日の朝から草刈りをすることになりました。
先生に草刈機をお借りしたものの使い方が分からず、ほとんど手作業で作業することに。3時間経ってようやく終わりが見えてきた頃に草刈機が動き出し、「最初から使えていたら…」と皆で苦笑いしたことは今でも忘れられません。
